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BL03XU概要

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BL03XUの概要

 ビームラインは、光を作り出す光源と、その光を利用する実験装置が置かれている実験ハッチからなっています。光源は、光速近くまで加速された電子の運動を複雑に曲げ、強い指向性を持つX線を発生させるアンジュレータと、そのX線を利用する波長に分光する分光器から構成されています。

 

 実験ハッチには数百nm~Åスケールの構造評価を行う小角・広角X線散乱測定装置、μmサイズの不均一構造を評価するためのマイクロビーム生成装置、材料表面のナノ構造を評価するための装置などが搭載されています。それらを利用することで、温度・湿度あるいは応力など様々の条件下での有機薄膜や高分子薄膜・表面における階層構造・相分離構造のその場観察や企業の大型装置を用いた成型加工プロセスにおけるナノ・ミクロレベルでのダイナミクス計測など、これまで困難であった各種の測定や高度解析が可能になります。

■有機・高分子薄膜および表面・界面の動的構造物性の解明
 様々な外部環境下における結晶性高分子薄膜や表面領域の結晶化度・結晶の乱れ・長周期構造、ブロック共重合体薄膜のミクロ相分離構造、 さらには超分子組織体の薄膜状態における分子凝集構造などを解明することを目的とし、微小角入射広角X線回折(GIWAXD)測定、 微小角入射小角X線散乱(GISAXS)測定、それらの時間分解測定と同時測定、 そしてX線反射率測定が実施可能な、有機・高分子薄膜の構造物性評価に特化した計測システムを構築しています。
 本システムは、時間分解GIWAXD/GISAXS同時測定による有機・高分子フィルムや薄膜の製膜過程、熱処理過程、 結晶化過程における動的階層構造の解明に極めて有効な国内で唯一の計測システムです。 薄膜状態や表面・界面領域のソフトマターの構造制御に有用な知見を与える本システムは、有機EL、有機FET、有機メモリー材料などの電子デバイス分野、 接着・塗装分野、印刷分野、生体材料分野など幅広いソフトマターの高性能化において、多大な貢献が期待されています。

■新規材料開発のための高分子材料動的構造並びに物性との相関解明
 外部環境変化(延伸・紡糸等の応力印可、加熱・冷却、圧力変化、溶媒蒸発など)により誘起される結晶化・相転移・融解過程におけるソフトマターの階層構造の形成・崩壊機構を、 小角X線散乱・広角X線回折(SAXS/WAXD)と種々の物理量との同時時間分解測定にて解明する事を目的としています。

■高分子材料の極小および局所領域における構造物性の解明
 マイクロビームもしくはナノビームを利用したSAXS/WAXD同時測定および微小領域(モノフィラメント、 ナノプリンティング領域など)および局所領域(表面・界面領域、薄膜など)における静的・動的構造特性を解明する事を目的としています。

■高分子結晶の電子密度分布の解明
 高分子は主に軽元素で構成されており、単結晶の調製が難しく、比較的乱れの大きい結晶構造を形成するものが多いことが大きな特徴です。 また、一般的なX線結晶構造解析からは水素の位置決定が不可能なことから、弱い水素結合や双極子相互作用などの存在は明確にされていないケースが多く存在します。
 そこで、精密広角回折装置を利用して集めたX線回折データに基づき高分子結晶の電子密度分布を解明し、 物性との直接的関連性を明らかにする事を目的としています。

■高分子成型品の変形機構解明
 時間分解SAXS/WAXD同時測定により、引張り応力・圧縮応力・ずり応力印加過程における高分子成型品の変形・破壊機構をナノ~サブミクロンスケールで解明する事を目的としています。

■成型加工過程における高分子材料の構造物性の解明
 新製品開発や既製品のクレーム対応を目的として、企業の生産ラインおよび研究開発のための試作ラインの一部を実験ハッチで再現し、 成型加工過程における高分子の分子配向機構および階層構造形成機構を時間分解SAXS/WAXD同時測定により解明する事を目的としています。

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